応用情報技術者 合格体験記

今回は応用情報についてです。

前提
非情報系大学出身で中の下くらいのスペックの筆者がIT資格をどのような経緯で受験し、どのような方法で学習し、その結果どうなったのかを、本音ベースで伝える。

受験の目的

弊社の教育方針のひとつに「入社3年目までに応用情報を取得することが望ましい」というようなものがあり、「応用くらいは持ってて当たり前だよね?」みたいな風潮があります。なので仕方なく受験しており自発的な受験ではなかったのですが、不合格になるたびに毎回早く合格しろ合格しろ言ってくる上司がうっとおしかったので合格を目指すようになりました。そういう上司に限って何の資格も持っていなかったりして(時代が違うというのもあるが)挙句の果てには「まぁ持ってても仕事できるとは限らないんだけど」みたいなことを言うのが本当に癪だったので、受かった上で「いゃあ資格なんて持っててもあまり意味ないですよ…」と言いたいと強く思うようになりました。陰湿なオタクなので。

受験状況

合格日:平成28年度春期試験にて合格(2016年4月)
受験地:東京都文京区
受験回数:5回以上?
報奨金:2万円 + 受験料返還
2012年春期に1回目の受験をしましたが、大した対策もせずボロボロだった記憶があります。
それ以降は年によって受験したりしなかったりがまちまちでしたが、部署異動して合格についてより口うるさく言われるようになった2015年春期以降はそこそこ真面目に学習した上で受験しています。
無事に合格して報奨金も貰っていますが、繰り返し受験した受験料があるのでトータルでは余裕でマイナスになっています…

筆者のスペックは以下の2016年4月ごろの状況を参照。 (https://y-sakurai-0112.hatenablog.com/entry/2022/01/14/004828)
海外向けのメカトロ開発に携わり1年程経過している状況です。
業務繁忙のため心身ともにとても疲弊していて、自宅での学習時間はほとんど確保できていなかったと思います。
一つ幸運?だったのは当時の業務は「これ俺が出席する必要ある…?」というような無駄な打合せが多かったことです。議論に参加するふりをして社用PCから後述する過去問の学習をほぼ毎日行うことができました。業務中にこっそり学習するということ、それすなわちお給料が発生する行為ですので、自宅で無償で学習するよりも絶対お得だし、取ってやるけど業務の一環とさせてもらうよ?というスタンスの方が受験することに納得感が強いと思います。

学習について

学習期間:試験1か月前くらいから、その日によってやったりやらなかったり
学習場所:会社(就業中)
学習方法:過去問、参考書
基本情報の時と同じく、過去問を重要視していなかったので受験し始めの頃は漠然と参考書による学習を行っていました。
なかなか合格できない中、本腰を入れて学習をし始めた2015年以降は過去問による学習方法を確立しています。



攻略法

午前問題

基本情報のときにも書きましたが、午前問題に関しては"合格のための勉強"と割り切ってしまって全く問題なく、ひたすら過去問を解くのが正解だと思います。
応用情報の午前問題は過去問からの流用が4~5割程度あり、選択肢まで完全に一致しているので、以下の過去問サイトで過去10期分くらいを「問題文の冒頭を見ただけで選択肢が分かる状態」になるまで繰り返し解けば十分だと思います。
このレベルまで暗記するのは少しハードルが高いように聞こえるかもしれませんが、過去問道場はワンクリックするだけで回答でき思いのほか速い速度で繰り返し学習が可能で、あっという間に記憶できると思います。

応用情報技術者試験ドットコム 過去問道場(午前)(https://www.ap-siken.com/apkakomon.php)

午後問題

問題となるのは午後です。自分は午前で不合格になることはなかったのですが、この午後が全然合格点に届かず何度も受験する羽目になりました。
基本的には過去問による学習で問題ないと思いますが、いくつかポイントがありますのでそれを踏まえたうえで学習を進めた方が良いと思います。

勉強しなくても得点が期待できる分野を1つ、2つ作る

応用情報の午後問題は以下の通り11問出題され、情報セキュリティは必須ですが、それ以降の問題から4問選択する必要があります。
問1. 情報セキュリティ
問2. 経営戦略
問3. プログラミング
問4. システムアーキテクチャ
問5. ネットワーク
問6. データベース
問7. 組込みシステム開発
問8. 情報システム開発
問9. プロジェクトマネジメント
問10. サービスマネジメント
問11. システム監査

応用情報を受験するレベルの人材であればIT関連の業務や技術に関して完全な素人ということもなく、1つ、2つくらいは専門的な知識を持っているのではないかと思います。自分の場合は開発要員として組み込み開発を5年も近く経験していたので、"プログラミング"、"組み込みシステム開発"に関しては特に勉強しなくても毎回それなりの得点が期待できたのでこの2つは必ず選択するようにしていました。
一方で、"経営戦略"、"ネットワーク"、"データベース"に関しては実務経験がなかったので最初から捨てていました。このように1つ、2つ余裕で得点が期待できる分野がないのであれば厳しい資格なのではなかと思います。
どうやってその状態に持ってくのよ…?と思われるかもしれませんが、"そうなっている"が受験の前提条件みたいなものだと思っています。

残りは当日解きやすい問題を選ぶ

前項で選択問題は残り5問から2問を選ぶところまで絞ることができました。
最初から4問選択する問題を決め打ちして試験に臨むのも悪くはないと思うのですが、何度も不合格になった経験的に感じたのは、年によって各設問同士を比較した場合に明確な難易度差があるということです。そのため、残りの問題については当日問題を流し見し、解きやすい問題を選んだ方が得点アップには繋がるのではないかと考えます。
自分の場合でいうと以下の通り、残り5問に対し薄い知識を持っていました。基本的には〇を付けた問8、問9を選択する方針はあるのですが、前述の通り問題によっては△の方が〇より解きやすくなるケースがあるため、実際に合格したときは情報システム開発(〇)とシステム監査(△)を選択しています。

×問4. システムアーキテクチャ:全くできないわけではないが、ネットワーク設計、仮想化などについて聞かれるとしんどいので基本的には選ばない。
〇問8. 情報システム開発UMLアジャイル、Webシステム、見積り、テストなどは2015年以降の業務で経験がある。
〇問9. プロジェクトマネジメント:過去にサブリーダ経験があり、品質分析やメンバの進捗管理などの知識はある。
△問10. サービスマネジメント:稼働済システムの維持管理(インシデント対応、リリース管理等)は2015年以降の業務で経験がある。
△問11. システム監査:社内のISMS監査資格を持っている。監査員としての実務経験はなかったが被監査側の経験は何度かある。

問題選択に関する個人的見解

とはいえ結局どれ選べばええねん… となると思いますので選択問題についての個人的見解です。 個人的に、"楽に"、"何となく"点が取れるのは以下だと思います。

問3. プログラミング:基本情報のC言語と大して変わらないレベルで、配列、ループ処理をしっかり分かっていればそこそこ得点できると思います。
問7. 組込みシステム開発:組み込み機器自体が我々の生活に密接に存在するため、ボタンを押すと表示が変わる、送信/受信などの状態が変わるなど、具体的なモノをイメージして解きやすいため明らかに簡単で選ばない理由がないと思います。
問8. 情報システム開発:開発するシステム内容によって異様に簡単な時がある。自分が合格したときはクレカの支払いシステムに関する問題だったため、実態をイメージし易かったため選択した。
問9. プロジェクトマネジメント:専門的な知識がなくても問題文をよく読めば解けるような問題もあるため、満点とは行かずとも時間をかけずに確実に何点か獲るような場合に選択するのもあり。
問10. サービスマネジメント:同上
問11. システム監査:同上

午後問題の学習方法

午後問題は全く同じ過去問が出題されることはないですが、出題パターンは限られています。従って、過去問を解くというよりは問題と解答を照らし合わせて眺めることで、この設問ではこういう観点の問題が出るんだなぁくらいの学習で良いのではないかと思います。
応用情報技術者試験ドットコム 過去問道場(午後)( https://www.ap-siken.com/index_pm.html)

参考書

応用情報も基本情報同様、参考書は買うまでもない試験だと思います。もし買うなら何冊も学習するより1冊を読み込む形で、以下の合格教本シリーズが鉄板だと思います。



合格してみて

基本情報の知識が実際の業務に生きたことはほぼなかったと記憶していますが、応用情報に関してはかなり"広く浅く"の知識を得ることができたので、業務中に出てくる単語や技術について「これ聞いたことあるな」と思う機会はかなり多かったと思います。薄いながらも前提知識があることでスムーズに議論に入れるとは思います。著しく有益で誇れるような資格ではないですが、全くの無駄ではなかったのでは…?というのが個人的な感想です。